家の解体費用はいくら?空き家問題を解決するためにすべきこと

夢のマイホームという言葉がありますが、その言葉は果たして現在も生きているのでしょうか?日本全国に増えている空き家とその解体費用の目星の付け方、そして空き家問題を生まないための対処法について解説します。

現実におきている空き家問題

日本で現実に起きている空き家問題。放置された家主と周辺住民の間でトラブルが起きるケースも珍しくありません。空き家の第一の対処法は取り壊しですが、費用が高額なのが悩みどころ。空き家を取り壊す費用とその費用の目星のつけ方に加え、空き家を創り出さないための今からできる対策も合わせてご説明します。

なぜ空き家問題はおきるのか?

空き家問題を生み出している原因は大きく二つです。一つは時間的問題、もう一つは費用的な問題です。

例えば、Aさんは大学卒業後に東京の会社に入社し、結婚してマイホームを持ちました。その後、父方の祖母が亡くなり、父親が祖母の家を相続しました。直後、母方の祖父が亡くなり、母親が祖父の家を相続しました。やがてAさんの両親も老いて亡くなり、Aさんは父親の実家(父親が祖母から相続した家)と母親の実家(母親が祖父から相続した家)、そして父母が住んでいたAさんの田舎の実家の三軒を一気に相続してしまいました。Aさんはマイホームの他に三軒の家、つまり四軒の家の家主になってしまったのです。

Aさんのマイホームは東京にあります。専業主婦の妻と一人息子と、現に住居として使用しています。しかし、他三軒の家は地元にありますので、職場や息子の学校が遠くなりますから住むことはできません。そもそも、地元に帰ることさえ年に一回あるかないかです。仕事の休みがあまり取れないのです。当然、地元に帰っても三軒もの家を掃除して、修繕する時間などありません。両親や祖父母から相続した代々の家が日に日に荒れが進んでいるのも知っているのですが、どうにもなりません。

それに、費用的な問題もAさんを悩ませていました。給与をもらっても、マイホームのローンもありますし、年金の支払い、税金の支払い、保険の支払いもあります。息子の教育費用も必要です。もちろん生活費も必要です。通勤費は会社から出るとはいえ、昼食代は自腹です。Aさんも年齢と共にそれなりの給与をもらうようになりましたが、生活に必要なお金が給与のほとんどを占めているので貯金もままなりません。

そこに、今度は三軒分の固定資産税です。一軒の固定資産税は十数万円はかかります。マイホーム分の固定資産税も合わせれば優に五十万円以上が必要になります。生活しながら固定資産税を払い、各家の修繕を行うのは無理です。妻も、このまま家の税金にばかりお金をかけていると息子の大学進学費用が危ぶまれると心配しています。

Aさんは故郷の三軒の家を不動産屋に仲介してもらい売りに出しましたが買い手もなかなかつきません。買い手がつかない間に、今度は何と妻の両親が亡くなり、妻が両親の家を相続してしまったのです。相続により、持ち家はどんどん増えます。Aさんはふっと恐ろしい想像をしてしまいます。一人息子は、このままだと、妻が相続した一軒、Aさんが相続した分の家、そしてこのマイホームを一人で維持管理してゆかなければならないのです。何と恐ろしいことでしょう!

しかもこれはAさんの家庭に特有の問題ではないようです。実際に日本各地で起きている問題のようです。

時間と費用の二重苦

五軒分の固定資産税はばかになりません。故郷の家々が小さく、そして地価かさほどではないため合計額で七十万円程度で済んでいますが、これが東京の銀座あたりの五軒だったらと考えるとぞっとします。なかなか買い手もつかないので取り壊しも検討しましたが、Aさんと奥さんには取り壊しを実行できない理由がありました。

家を取り壊して土地だけを持っていると、税金が最大で6倍に跳ね上がるというのです。宅地として家が建っているからこそ税金が減額されているのが現状です。ですが、家を放置すると税金の他に修繕費がどんどんかかります。

また、故郷の家の周辺住民からは、放置された家に対し苦情が出ています。空き家に雀蜂が巣をつくり、野生動物が住みついているというのです。また、屋根の一部が崩れ、側の道路を歩いている人の足元に落下したという事故もあったそうです。しかも、その空き屋に妖しげな男が出入りし、周囲の家をそれとなくチェックしているというのです。

Aさんの奥さんが相続した空き家の方でもトラブルがありました。誰も住んでいないはずなのにぼや騒ぎがあったというのです。誰かが煙草の不始末をしたのか、悪質な放火犯の仕業かは分かりません。

野生動物は、人間やペットに感染する病気を持っていることがあります。雀蜂の場合は、刺されると命に関わります。家が倒壊し周辺住民が怪我をする可能性もあります。

また、空き家は窃盗犯の下見場所になったりと、犯罪の温床になることも考えられます。周辺住民にはとても不安で恐ろしいことでしょう。住民の苦情も最もです。

お金がない。時間もない。でも、苦情が出る。手放したいけど買い手がつかない。八方塞がりです。Aさん夫婦はどうするべきなのでしょう?

具体的な問題点

■税金が一気に上がってしまうため家の取り壊しができない
(費用的な問題)
■空き家にかける時間がない
(掃除や修繕ができず荒廃の原因になる。時間的な問題)

以上の二つが空き家問題の根底に強力な根っこをはっている問題です。

自分の身に置き換えてみれば、確かに、周辺住民の立場としても、Aさんの立場としてもかなりの悩み処といえます。周辺住民として考えれば、「家の持ち主なんだからちゃんと家を管理して!」と言いたいところですが、Aさんの立場としては、金銭的な余裕も時間的な余裕もありません。

固定資産税は一軒でもそれなりの額です。住居として使っていれば火災保険や地震保険の費用も必要です。修繕費用もかかります。家一軒を維持するのはかなりの労力と費用が必要になります。それが二軒、三軒と相続により増えてしまうのですから、金銭的な負担は相当重いものです。二軒、三軒を維持するとなれば年間で100万円程度の費用を見込む必要もあります。

修繕もできず、掃除もできない。手をかける時間がない、地元にはほとんど帰れないというのであれば、取り壊して土地だけにしてしまった方が安心なのでしょう。そうすれば倒壊と火事の心配はありません。しかし、家を取り壊してしまうと、税金が一気に跳ね上がります。

宅地に家を建てているから税金は軽減されていますが、家を取り壊したら税金の軽減が受けられません。今まで、例えば10万円の税額だったものが単純計算で60万円ほどに跳ね上がります。これが二軒、三軒と積み重なれば、120万円、180万円……いかがでしょう?空き家で破産してしまう金額ではないでしょうか?

Aさんと同じく、世の中の人たちは自分の生活を給与で立てた上で空き家へ出費しなければなりません。年収をほぼ空き家の維持に持って行かれる。さりとて周辺住民だって人の家を勝手に壊すこともできなければ、害虫や害獣の駆除すら勝手にできません。私有地、人の家です。

この費用的な問題と時間的な問題が重なり合い、結局「空き家を放置するしかない」「空き家問題」へと発展しています。

新しい制度も悩みどころ

新しい制度ができました。

この制度では、空き家をほとんど手入れせず放置している持ち主に対し、減税措置を使えないとするものです。また、各行政が放置されている危ない空き家を取り壊すことができるようになりました。

■空き家の放置状態によっては減税措置が使えない
■行政側で空き家の取り壊しができる

空き家であれば何でも取り壊しができるわけではありませんし、すぐに減税措置が使えなくなるというわけではありません。あくまで悪質なケースに対しての措置です。空き家も個人の財産ですから、公権力で勝手に取り壊しをしてしまうと個人財産に損害を与えてしまうことになりますから、判断には慎重を重ねているというのが現状のようです。

ですが、二十数年ほとんど手入れされずお化け屋敷となり、獣害や虫害が出ており、倒壊の危険も目前に迫っている。警察や行政に注意をしてくれるように周辺住民がお願いし、注意をしても「俺の家の問題だ、放っておいてくれ!」と聞く耳を持たない空き家主に対しては効果的な措置ではないでしょうか。

家の解体費用

実際に周辺住民に被害を出してしまえば、もう時間や費用が問題だと言っている場合ではありません。取り壊しをする必要があります。その場合、一番の問題はやはり取り壊しに必要な費用でしょう。

取り壊しにいくらかかるのだろう?と考えてインターネット上で検索するのも一つの手ですが、実はこの手には大きな落とし穴があります。家の大きさや建材量(出るゴミの量)によって費用が大きく変わってくるのです。また、例えば親族に大型トラックの運転手がいて、お願いしてゴミだけを処理場に運んでもらうとしても、取り壊し自体にはお金がかかりますし、ゴミ処理場に払う手数料も必要です。

それぞれの家の大きさや業者のやり方、ごみ処理の量が大きく関わることから、一概には言えないのが現状です。お隣のお宅の取り壊しは100万円でできたって!じゃあうちもそのくらいよね!?と思ったら、何と1.5倍かかりましたということだってあるわけです。

取り壊しの場合はあらかじめ届け出て許可をもらう必要がありますし、一般人が適当に壁をべりべり剥がして壊すということは、本人も、そして周辺住人にも危険です。必ず専門の業者に依頼し、危険がないように、素早く作業が終わるようにする必要があります。その上でも業者を検討し、それぞれの業者に見積もりを依頼して見比べることになるでしょう。

費用は一概には言えませんが、100万円単位の額を見込む必要があるかと思います。

建材や施設によって費用は変わる

地域によって取り壊し費用は異なり、坪あたりの価格で提示している業者が多いです。坪あたり2万円から6万円くらいが相場で、家の素材が鉄筋か木材かによっても価格が変わってきます。また、地方によっても価格は万円単位で変化します。

こんな業者に要注意

異様に安い見積もりを出す業者には注意してください。とりあえず受注し、家の取り壊しだけをしてゴミを放置するという業者もおります。「いえ、家の取り壊ししか請け負っていませんから!」と言われてしまえば、確かにその通りです。

家を取り壊した際に出る廃材は個人で片付けるのは難しいもの。しかも、トラックで処理場に運んでも、処理に際し手数料が万単位で必要になります。安い業者に頼んだらゴミを放置されたという問題に発展しないように、値段だけでなく最後の処分まできちんとやってくれるかの確認も重要です。

家の解体費用の目星のつけ方

業者に見積もりを依頼することも一つの手ですが、見積もりの前に2点を注意することで空き家取り壊し費用の目星をつけることもできます。

①近隣住民に尋ねる
②金融機関のローンを確認する

確かにそれぞれの家によって取り壊し費用は変わってきますが、参考にはなります。業者から見積もりを取った際に近所の家の取り壊しのケースに比べて100万円以上高かったという場合は「どうしてこんなに高額になるのですか?」「近所の家はこのくらいの額だったと聞きましたが」と、業者と金額的な折り合いをする上での重要な情報になります。

家の形式や大きさによって金額は変わりますが、あまりにも高いケースには疑問を持つべきです。情報収集はしておくにこしたことはありませんし、近所の方が業者を利用したのであれば、その業者の対応についても確認しておけば、業者選びの際の大切な判断材料になります。

また、意外なことかもしれませんが、銀行のローンが空き家取り壊し費用の目星をつける上で重要な判断材料になります。最近は色々な金融機関で空き家取り壊しローンや、空き家対策のローンを取り扱うようになりました。

金融機関は社会のニーズを敏感に察知し新たなローンを作り、ローンの特典としています。空き家ローンの貸し出し金額を確認すれば、金融機関側が空き家の取り壊しに関して調査した結果、どれだけの費用が必要だと判断したかが分かります。

金融機関がローンを作る際は必ず綿密な調査を行いますので、空き家問題に関して調査に調査を重ねた結果、これだけに金額が必要になるだろうからこの金額の範囲内で設定しよう、という形でローンサービスを考案するわけです。

参考例として空き家ローンを一つご紹介します。地方や家々の状況によってもちろん必要費は変わりますが、参考になることは確かです。また、一括で払えない場合はこうしたローンの検討も必要になるでしょう。

この他に、各市町村で空き家対策の制度を創設しています。空き家取り壊しの際に補助金が出る制度など自治体によって様々ですので、行政の窓口に問い合わせてみると良いでしょう。また、その際に「空き家の取り壊しはどのくらいの費用がかかるものでしょう?」と尋ねてみてください。制度の担当窓口には色々な情報が集まりますので、参考になる情報を教えてくれるはずです。

空き家にしないための対策

実際に空き家を手にしてからでは遅いことは言うまでもありません。空き家を手にした場合は売却するか取り壊すかという手段を取ることになります。相続関係や家族の状況から空き家かが見込まれる場合は、事前に対策を取ることが大切です。

処分する

土地だけなら売れると見込める場合は、すぐに取り壊して土地だけを売却してしまうのも手です。家も売れるようなら一緒に手放せばその分解体費用が浮くわけですから有り難いことではありますが……。

空き家の処分に困ったら、まずはその家の登記事項証明書を取得してください。抵当権などの権利が付着していないことを確認してください。権利がついている場合は法律の専門家に除去してもらうか、「権利が付いているのですが」という前提で不動産屋に売買の相談をしてみましょう。

信託を活用する

家の買い手がついても、その家の持ち主が重病で意識がない場合は売買ができません。なぜなら意思表示ができないからです。例え息子でも、こういった場合は勝手に家を売ることができません。しかし、家を売れば空き家になることも防げるし、老いて重病の親の入院費も工面できる、こんなことだってあるはずです。しかし家の処分ができない、こんな時はどうすればいいでしょう?

親が元気なうちに信託の契約を結べば、親の財産を息子が変わって処分することができます。親が重病になった場合に代わって息子が管理できるわけです。つまり、息子の判断で親の上を売ることができるんです。こんなことをすると息子が勝手に財産を使いこむんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、大丈夫です。信託には厳しい監視も働きます。

親が急に病気になり、意識もはっきりしない。老人ホームや病院にいる。費用はかさみ、家の問題もある。後々こんなことになりそうなら、早めに親子で信託契約を結び、親の家や財産を子供が管理できるようにしておくのも、空き家問題には有効です。

制度を利用する

自治体などが積極的に不要な不動産の譲渡に関し情報提供や、独自のホームページを立ち上げ登録された不動産の譲渡を手助けしていることがあります。また、リバースモーゲージ制度を行っている自治体もあります。

リバースモーゲージとは、老いた両親の家(両親が亡くなれば不要になる家)に行政側で抵当権を設定し、両親に生活補助を行う代わりに亡くなったら担保にしていた家を引き取るという制度です。家を担保にお金を渡すということです。こうした制度は全ての自治体で行っているわけではありませんが、自分の自治体で何か制度があったら利用するのが良いでしょう。

相続放棄する

これは空き家を創り出さないためというより、空き家を引き受けないための対策です。相続の際に家庭裁判所で相続放棄をすれば全ての遺産を相続しないことができますので、空き家を引き受ける必要がありません。

ただし、この方法には一つ欠点があります。それは「空き家入らないけど預金は欲しい」とは言えないこと。全部放棄するか、それとも全部引き受けるか、選択肢は二つに一つです。預金が億単位であるなら空き家一つのために放棄するのもどうだかなあという話です。

空き家を含めてマイナスが多いなら放棄の手続きを取るのが良いでしょう

まとめ

空き家問題は他人事ではありません。遠縁の家をある日いきなり相続してしまうことだってあるわけですから、絶対に私は大丈夫とは言えない問題です。また、自分がマイホームを所持している場合は、子供や孫に相続されるわけですから、自分の子孫が空き家問題で苦労することもありはずです。

家を持つのは夢ではあります。しかし、その家をどうするか?も考えて行かなければならないのではないでしょうか。取り壊しを含めお金はかかりますが、「遠足は家に到着するまでが遠足」ならぬ、「家は建てて壊すまでがマイホーム」という思考を持たなければならないようです。

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