権利書とは、その名の通り家や土地の権利が自分にある事が示されている書類です。

権利書は非常に大事な書類ではありますが、紛失や盗難に遭った瞬間に自分の権利がなくなるワケではありません。権利書を紛失してしまった時に困るのは、不動産の処分をする時ですが、もし権利書をなくした場合は家を売ることができるのでしょうか?

権利書がなくても家や土地は売れる?

権利書とは、不動産の利権を持っていることを「証明」するものであって、その権利書を持っている人が不動産の権利を有しているワケではありません。そのため、結論から言うと、権利書を盗難や紛失しても必要以上に焦る必要はありません。

権利書は色々な呼び方があります、「謄本」「登記識別情報」「権利証」などが一般的ですが、いずれも同じ意味合いです。昔は、権利書は紙で発行され各自で保管されていましたが、今では電子化されている場合がほとんどです。

権利書を紛失・盗難された時のリスク

先ほど言ったように、権利書を「持っている人」にその不動産の権利があるワケではないので、権利書を紛失・盗難されたとしたとしてもリスクはそれほど高くありません。

権利書だけでは何もできずに、不動産を処分するためには「印鑑証明書」と「本人確認書類」が必要になるのです。

また、不動産を売却するときには権利関係(所有権の移転や抵当権の抹消など)は司法書士に委任します。

その時に司法書士は必ず本人確認を行うので、権利書の名義人と異なる場合には当然ながら司法書士にバレてしまいます。更に法務局も本人確認をするので、司法書士・法務局の登記官と二重のチェックがあるのです。

登記自体は司法書士の資格を持っていなくても出来ます。ただ、抵当権抹消登記は金融機関が司法書士でないと嫌がるので、司法書士の資格を持っていないと実際は難しいです。

つまり、もし権利書が他の誰かの手に渡った時は、その誰かがあなたの印鑑証明書を偽装して、司法書士の資格を持っていて、更に身分証明書を偽装しない限りは不動産の処分は難しいのです。

万が一権利書を使い第三者が家を処分したら

権利書が紛失・盗難に遭い、上記の事も全てクリアして勝手に不動産が処分された時にも、権利は保全されます。不動産の登記関係には民法上に以下の条文があります。

民法177条

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

不動産に関する物権の得喪及び変更は,不動産登記法(略)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ,第三者に対抗することができない。

上記の条文を簡単に言うと、「登記した人の権利になる」という事です。これだけで見ると、権利書の紛失・盗難に遭い登記手続きをされてしまったら、不動産は第三者の手に渡ってしまうと思われがちですが、それは真っ当な方法(売買契約を締結して)で不動産を取得した場合に限ります。

そもそも、今回の場合は権利書を「盗難」しており、印鑑証明・身分証明書も「偽装」している不当な登記なので、登記自体が無効になります。

権利書を紛失して困る事とその対策

冒頭でも言ったように、権利書を紛失して困るのは不動産を売却する時や担保設定など「登記」に関する時です。

不動産を売買する時や贈与する時、または抵当権を設定・解除する時には法務局に行き登記する必要があります。

登記しないと、公的に不動産の利権が証明されないからです。その登記時に「権利書が必要である」と不動産登記法に記載されているので、権利書がないと困るのです。

権利書を紛失・盗難された時の対策

万が一権利書を紛失してしまった時には、法務局の登記官に「この不動産の所有者は自分である」という証明をする必要があります。その証明する資料が司法書士か弁護士が作成する「本人確認情報」になります。

本人確認情報は数枚の紙面で構成されており、不動産の種類や氏名などの個人情報などの他に、司法書士(または弁護士)が「この不動産の登記名義人であることを確認した理由」という項目があります。

つまり、司法書士や弁護士が何度もヒアリングを重ねた「状況証拠」を積み上げて、法務局の登記官に「権利書はないけど、この人が不動産の登記名義人であることは間違いないです」と証明しているのです。また、権利書自体が再発行されることはありません。そのため、権利書を紛失した状態で不動産を処分する場合には、必ず「本人確認情報」の作成が必要になります。

権利書を紛失して本人が死亡した場合は?

結論から言うと、権利書を紛失した後に本人が死亡した場合には、新しい権利書が交付されます。

不動産の所有者が亡くなってしまった場合には相続登記をします。相続登記とは、簡単言うと相続人(相続を受ける子など)に名義変更をする登記手続きの事です。

その相続登記は、不動産登記の中でも唯一権利書が不要な手続きになります。

所有者本人が無くなってしまっているので、本人の印鑑証明書は発行できませんし、戸籍謄本などで所有者との関係性は証明できるからです。そのため、所有者が亡くなった場合には権利書は相続登記をすることによって再発行されます。