相続した家やマンションを売る時にかかる税金と売却の流れ

相続した家やマンションは空き家になっていることも多いです。空家の売却は、通常の「居住中」の売却とは異なり、管理に関する注意点や税金に関する注意点などがあります。

相続した土地や建物をそのままにすると?

相続した土地や建物、そのままにしておくとどんなことが起こるでしょうか?例えば何も使っていなかったとしても、固定資産税を払う必要がありますよね。固定資産税の額は固定資産税評価額×1.4%ですので、例えば評価額が1,000万円の土地の場合税金は1,000万円×1.4%=14万円となります。

さらに建物の場合一戸建てなら建物が傷んでしまいますし、マンションでもその価値は下がってきてしまいますよね。そこで考えられるのが、相続をした土地や建物(不動産)を売ってしまうということが考えられます。

参考 都税:固定資産税(土地・家屋)・都市計画税東京都主税局

まずは名義変更をします

不動産を相続した場合に、その持ち主が自分の親であった場合は自分の名義に変更する必要があります。相続税の期限とは違って、いついつまでに手続きをしなければならないという決まりがないので、後回しにしていて忘れてしまいがちです。しかし名義変更をしないと、その不動産を売ることも出来ないのです。

名義変更の際にかかる登録免許税

相続した場合に名義変更をすると、登録免許税というものがかかります。金額は土地や建物(不動産)の固定資産税評価額の0.4%です。評価額がわからない人は固定資産税の納税通知書に載っているので、一度見てみると良いでしょう。

これは自分で手続きを行う場合も、司法書士などの専門家に頼む場合も必要となってきますので必ずかかってくるものですね。管轄の法務局へ行って相続について登記の手続きを申請をしましょう。

相続した家による「空き家問題」から見る税金対策

現在日本では、相続した家を放置している「空き家問題」が社会現象になっています。要は、相続した実家が遠方だったり、今居住する必要がなかったりすると、「とりあえず放置する」という方が多いのです。それにより、日本中で空き家が増えており、様々なリスクが生まれているという問題です。

空き家問題が抱えてるリスクとは以下の点です。

  • 老朽化した建物の放火や盗難などの犯罪増加リスク
  • 老朽化した建物の倒壊や破損による怪我などの災害リスク
  • 老朽化した建物があることによって、周辺の印象が悪くなるリスク
空き家が多いという事は、このようなリスクが潜んでいます。この空き家問題が発端となり税制改正され税金面でも優遇が出来ました。

3,000万円の特別控除について

3,000万円の特別控除とは、簡単に言うと「ある条件を満たせば売却益(譲渡所得)から3,000万円を控除する」という事です。言い換えると、不動産を売却して3,000万円以上の利益が出ない限りは、譲渡所得が0円になるので税金が掛からないという事です。

空き家問題が発生したことにより、3,000万円の特別控除が適用できる範囲が広がりました。本来であればこの特別控除は「居住用不動産」に限定された措置でした。しかし、2016年度の税制改正大綱で、相続した空き家を売却した場合にも適用できるようになりました。

ただ、この特別控除を受けるためには以下のような条件があります。

  • 旧耐震(昭和56年以前の昔の建築基準法)の物件は耐震改修してから売却
  • 旧耐震の物件は解体して更地にしてから売却
要は、昔の耐震基準で建てられた建物をそのまま売却したら、3,000万円の特別控除を受ける事は出来ないという事です。
 

特別控除を受けるその他の条件

前項の2点以外にも特別控除を受ける条件は複数あります。

詳細は国税庁ホームページを確認ください。以下に重要な点のみ要約しておきます。

  • 仮に家を取り壊していた場合、「取り壊した日から1年以内に売却」という条件と、「売るまでに貸駐車場など、その他の用途で利用していない」という条件が加わる
  • 家を売却した年の過去2年間で住宅に関連する特例を受けていない
  • 売却先が親や近しい親族などの特別な関係性ではない
この3点が特に重要なポイントになります。相続した家やマンションを売却する時には、売却する時に3,000万円の特別控除を受けられるかどうかは必ず確認しましょう。税金が0円になるか、場合によっては100万円単位で掛かってくるかで大きく違ってきます。

不動産を売る場合はこんな税金がかかります

不動産の持ち主が亡くなった人から自分に移す作業が終わったら、次は不動産を売ることを考えている人は不動産業者に依頼をかける必要がありますね。自分で買ってくれる相手を見つけるのはとても難しいので、不動産業者を探しましょう。

インターネットで不動産の簡単査定を利用するのもいいですし、お知り合いがいればそこに頼むのもいいでしょう、できれば数社に査定をしてもらってその中から信頼のおける会社を選ぶことが大事ですね。

次に書類の準備が必要となります。例えば物件の権利書、登録済証、その他固定資産税の納税通知書、その他物件によって違いますがいろいろな書類が必要になります。

売買契約書に貼る印紙税

不動産を売却した場合に、不動産売買契約書というものを作成します。これは契約書に載っている金額によって印紙税がかかります。価格が高ければ高いほど印紙税額も高くなっていきます。

◆記載された契約金額と印紙税について
・1万円~/200円
・10万円~/400円
・50万円~/1,000円
・100万円~/2,000円
・500万円~/1万円
・1,000万円~/2万円
・5,000万円~/6万円
・1億円~/10万円
・5億円~/20万円

参考 印紙税額国税庁

不動産を売って利益が出た場合にかかる譲渡所得税

実際に不動産を売った場合に、まだまだ税金を払う必要があります。譲渡所得税と住民税です。譲渡所得税は不動産を売却した場合に利益が出なければ払う必要はありません。

まずは土地や建物を売るときにかかる税金について知ることが大事ですね。譲渡所得というのは、土地や建物を売却した時の所得です。漢字だけを見ると譲り受けたまたは渡したということがわかると思いますが、今までの所有者から別の持ち主になったということを表します。

この譲渡所得は次の計算方法で出すことが出来ます。

譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

譲渡価格というのは売った金額つまり手に入った金額ですね。そこから不動産取得にかかるいろいろな経費を差し引きます。この差し引く費用の取得費には、不動産屋さんへの仲介手数料や、名前を変更する際の登記費用などが含まれます。

最後の特別控除額というのは、居住用財産を売却した場合の、3,000万円の特別控除など一定の条件に当てはまった場合に限られているので、一般的にはあまり考えなくても大丈夫です。

参考 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|譲渡所得国税庁

譲渡所得税の税率が持っていた期間によって違う!!

譲渡所得が計算できたら、それに税率をかけてみましょう。この税率は不動産を所有している期間によって異なります。判断の基準としては、不動産を売却した年の1月1日現在、その不動産の持っている期間が5年を超えているかいないかで決まります。

5年を超えている場合は長期譲渡所得といい、超えていない場合は短期譲渡所得と呼びます。それぞれの税率下の通りです。

◆長期譲渡所得の場合
所得税15%/住民税5%
◆短期譲渡所得の場合
所得税30%/住民税9%

となります。さらに平成25年から平成49年までの期間復興特別所得税といって、所得税額の2.1%を所得税と合わせて申告と納税をすることになっているのも注意が必要です。

実際に計算をしてみるとどうなる?

課税譲渡所得額が2,000万円の場合の税額を計算してみましょう。

◆長期譲渡所得(5年以上)の場合
・所得税
2,000万×15%=300万円
・復興特別所得税
300万×2.1%=6万2,000円
・住民税
2,000万×5%=100万円
・合計406万2,000円

◆短期譲渡所得の場合

・所得税
2,000万×30%=600万円
・復興特別所得税
360万×2.1%=7万5,600円
・住民税
2,000万×9%=108万円
・合計715万5,600円

びっくりしませんか??ずいぶんと大きな税金を払う必要がありますね。

不動産を相続した場合3年以内に売るとお得!?

相続をした時に土地や建物ばかりで、相続税を払えないという人もいると思います。

そんな人たちにとって特例があるのです。先ほどご紹介した通り不動産を売却した場合には税金がかかります。その負担を少なくするというものなのです。この特例の適用を受けるためには、相続税申告書の提出期限の翌日から3年以内に売却することが必要になります。

相続によって取得した土地や建物を相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書提出期限(10か月以内)の翌日以降3年以内に売った場合、その売却した資産の取得費については、相続税額の一部を加算することができます。

この特例の条件としては、

  • 相続や遺贈により財産を取得した人であること。
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  • その財産を相続税申告期限の翌日以降3年を経つ日までに譲渡していること
  • 確定申告を行うこと

の4つが挙げられます。

相続した家をなるべく高値で売る方法

相続した家は定期的にクリーニングする必要があります。

特に、相続した家が不要という事は誰も住んでいない可能性が高いです。家は住んでいないと、どんどん劣化していくので、定期的なクリーニングをしなければいけません。特に、一戸建ては木造のためマンションより劣化が早いので注意が必要です。

空き家を管理する上では、以下の点に注意しておかなければいけません。

  1. 徹底的にクリーニングしておく
  2. 定期的なメンテナンスは欠かさない
  3. 家具レイアウトイメージを意識する

この3点をキチンと行うかどうかで、相続した一戸建てやマンションの売却金額が100万円単位で変わってくると言っても過言ではありません。仮に、相続した家が遠方の場合は自分自身で①~③を行うのは難しい場合があります。

そういう時は、不動産会社に依頼するなどしてでも、特に②の定期的なメンテナンスは欠かさないようにしましょう。それは、家の売却前だけでなく「家の売却中」でも同じことが言えます。

①徹底的なクリーニングについて

相続した家は放置している場合が多いので、必ずクリーニングを行いましょう。売却を決めた時に一度大規模な清掃をした後に、売却中に見学者が来るたびにクリーニングした方が良いです。

仮に、家具も全部引き払っている状態であれば見学者を案内しやすいので、売却には有利に働きます。

特に清掃しておくべき箇所は「水周り」と「バルコニー」です。キッチン、トイレ、バスルームの汚れに関して、特に女性の方は敏感です。特に水周りは生活感が一番出る箇所ですし、見学者が新築物件と比較している場合には、どうしても「汚れ」が目立ってしまいます。

水垢などの汚れを完全に除去するのは難しいですが、出来るだけ自力で綺麗にしましょう。また、換気扇は臭いの元にもなりますので、忘れずに清掃するようにしましょう。

バルコニーは、普段出る事が少ない方は特に気を付けるべきです。例えば洗濯物は全て室内で乾かす人は、バルコニーに出る機会は少ないです。極端な話、年に数回程度しか出ない人もいるほどです。

しかし、物件を見学に来る人は、バルコニーからの眺望を気にするので、ほぼ確実にバルコニーには出たがります。そのため、さすがにバルコニーをピカピカにする事は難しいですが、せめて排水口のゴミは除去し床面にはブラシをかけておきましょう。

水周りもバルコニーもどうしても、自力で落ちない汚れが多数ある場合には、清掃業者にクリーニングを依頼するのも一つの手です。広さや清掃箇所によって異なりますが、数万円程度からクリーニングを依頼する事は可能です。

②定期的なメンテナンスは欠かさない

相続した家は、大体の場合空き家になっているので、定期的なメンテナンスは欠かせません。出来れば週に1階、少なくとも月に1~2回程度はメンテナンスをする必要はあります。メンテナンスには、主に「通風」「通水」「清掃」の3つがあります。

通風は、言い変わると「換気」です。特にマンションは気密性が高いので、家の出入りがないと空気が循環しません。そ

のため、その家独自の臭いなどが家のクロスや布製品に付着してしまい、中々取れないという事も考えられます。そのため、定期的に家を訪れ数十分間の換気を行う必要があります。

通水に関しては、トイレやバスルーム、洗濯パンやキッチンなどの配管関係です。基本的にはこの配管には水が張っている状態です。

しかし、その水も放っておくと蒸発してしまいます。そもそも水が張ってある理由は、下水に繋がっている配管からの臭いを抑制するのが目的です。

つまり、水が蒸発してしまえば配管から臭いが部屋の中に立ち込めてしまいます。この臭いは非常に臭いため、先ほどの換気同様に部屋の中に充満してしまうと、見学者が部屋の見学をした時に印象が悪くなってしまいます。

清掃については、先ほどの「水周り」「バルコニー」は勿論ですが、簡単な床掃除は定期的に行いましょう。予期せぬタイミングで見学者が来る事もありますので、出来るだけ見学者がいつ来ても良いような環境を整えておきましょう。

③家具レイアウトイメージを意識する

家具レイアウトのイメージは、物件の状況によります。例えば、相続した家にまだ家具一式が揃っている場合は問題ありません。問題あるのは、全て処分している時です。家を売る時には、家具が無い方が売りやすいです。部屋が広く見えますし、家具が無い分、単純に見学者を案内しやすいからです。

ただ、家具が無い唯一のデメリットは、見学者が家具レイアウトイメージをしにくいという点です。そのため、全て家具を引き払ってしまっているのであれば、間取り図に家具のレイアウトイメージを記入しておきましょう。

以前使っていた様子をそのまま記載しても良いですし、新たな家具レイアウトイメージを記載しても良いです。

もし、可能であれば家具がある状態の時に写真撮影をしておく事がベストです。家具が入っている状態の部屋を見学者に見せる事で、家具レイアウトイメージを沸かせることが出来るからです。

売却の流れ

相続した家やマンションを売却する時には、以下のような流れになります。通常の家の売却と基本的には同じになります。

【家の買い替え】売却と購入のタイミングや流れについて 家を売るときの手順や流れ手続き方法の総まとめ

①査定

自分の家がどの程度の金額で売却出来るかと言う査定を行います。査定する時のポイントは、一社ではなく複数社に査定依頼をする事です。

一社だけに依頼してしまうと、その一社が算出した査定額が正しいかが分からないですし、その不動産会社があなたの物件の売却が苦手なエリアかもしれません。

また、複数社に査定依頼する時は、「一括査定サイト」の利用をお勧めします。

一括査定サイトは1分程の入力で5~6社の不動産会社に査定依頼できるサイトです。このサイトを利用すれば手間も省けますし、複数の会社から同時期に査定額が算出されるので比較がしやすいです。

②媒介契約

査定をしてもらった不動産会社から、実際に自分の家の売却を依頼する不動産会社を選定します。

選定する基準としては「査定額が高い」という要素ではなく、「査定額に納得性がある」という要素で選ぶようにしましょう。

③売却活動

チラシやネットでの集客を図り、実際に物件の見学を行います。物件見学は土日になることが多いですが、なるべく見学者の予定に合わせてフレキシブルに対応しましょう。

特に、広告を出し始めた売却活動初期の頃が一番集客しやすい時期です。その時期は、意識的に土日は空けておき見学者を案内出来るようにしておきましょう。

④申込・契約

購入意思の確認と資金確定(住宅ローン審査の承認など)をしたら、申込及び契約手続きに入ります。申込から概ね1ヵ月程度で買主から手付金の入金をしてもらい、その後に契約手続きとなります。

⑤引渡

住宅ローンの残債がある場合には抵当権抹消登記の手続きを行い、引渡になります。

引渡日当日は、買主からの入金を確認後、司法書士と不動産会社と共に金融機関(住宅ローンの借入先)に行きます。

そこで完済手続きと抵当権抹消登記に必要な書類を貰います。そして、司法書士が法務局に抵当権抹消登記と所有権移転(売主から買主へ)を行い引渡は完了となります。

最後に

いかがでしたでしょうか?

もちろん相続した不動産の手続きについてはとても複雑なので司法書士などの専門家に相談するといいかと思われます。

確かに土地や建物といったものを相続した場合、権利書などの書類が見つかれば行動をおこしやすいと思いますが、どこにいったのかわからないまますっかり忘れてしまう、といったケースも多いのだろうと思います。

不動産を持っている場合やはり毎年固定資産税を払う必要になってくるので、近いうちに相続した土地にアパートや建物を建てる、相続した建物は他の人に貸すという明確な目的がある人はまずは名義変更の手続きをするのが大事な事かと思います。

この先何も使う予定のない土地や建物売ろうか売らないか判断に迷っている人は、不動産の簡易検索のサイトで見積もりを試しにとってみるのもいいかもしれませんよ。

この先固定資産税を払い続ける価値のあるものなのか、それを見極めた上で不動産を持ち続けるのは、あなたの子供や孫たちにプラスになるかもしれませんものね。