家を売却したときにかかる税金の種類と計算方法

「家を売る時に税金はかかるのか?」
家を売る時にはこんな疑問が沸くと思います。

結論から言うと下記のような状況の場合、税金はかかりません。

  1. 家を買った価格より価格が安くなった
  2. 自分で住んでいる家を売った時の利益が3000万円+諸経費以下だった。

ただし、それには色々な条件があります。

家を売却した際にどんな税金がかかるのか

家を売った時にかかる税金は「譲渡所得税」です。

譲渡所得とは
家を売った時に出た利益のことを「譲渡所得」と言い、その所得にかかる税金です。

少々複雑なのがこの譲渡所得の計算方法です。

単純に売却価格から購入時の価格を差し引くのではなく、売却時と購入時にかかった諸費用と減価償却費を加味しなければいけません。

減価償却費とは
「建物は時間が経つにつれ劣化していく」という考えを元に、築年数が経過するごとに、決まった金額を物件から差し引く事です。築10年経っていれば10年の劣化分が購入した時の金額から差し引かれます。

譲渡所得の計算方法

計算式は以下の通りとなります。

売却価格ー売却時にかかった諸費用ー(購入時の物件価格+購入時にかかった諸費用ー減価償却費用)

例えば、以下のようなマンションを売った時の譲渡所得を実際に計算してみましょう。

  • 「売却価格:4,000万円 売却時諸費用:170万円」
  • 「購入時価格:3,300万円 購入時諸費用:120万円」
  • 「築10年の鉄筋コンクリート造マンション 減価償却費:726万円」

これを上記の式に当てはめると、
「(4,000万円-170万円)-(3,300万円+120万円-726万円)」となり、譲渡所得は1,136万円となります。

譲渡所得税の税率は?

では、実際に譲渡所得税の税率はどのくらいでしょうか?税率は保有期間によって変わってきます。

長期保有の場合

売った年の1/1時点で所有期間を5年超えている場合です。
税率は、所得税15%(復興特別所得税2.1%※2)、住民税5%となります。

短期保有の場合

売った年の1/1時点で所有期間を5年以下の場合です。
税率は、所得税30%(復興特別所得税2.1%※2)、住民税9%になります。

※2平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。つまり、所得税が100万円であった場合は、これに2.1%を掛けた2.1万円が復興特別所得税になります。

なぜ、ほとんどのケースで譲渡所得税が掛からないのか

冒頭でも言った通り、ほとんどの場合はこの譲渡所得税がかかりません。理由は「譲渡所得は3,000万円までなら控除します」という特例があるからです。

「3,000万円の特別控除」とは?

譲渡所得を3,000万円控除するという事は、言い換えると「3,000万円を超える利益には譲渡所得税がかかります」ということです。但し、プロの不動産業者でない限り、一般の人が不動産を売買して3,000万円の譲渡所得になる時はほとんどありません。そのため、「ほとんどの場合に税金はかからない」という回答になるのです。

仮に、譲渡所得が4,000万円だったとすると、この4,000万円から3,000万円控除するので、譲渡所得は1,000万円という扱いになります。「3,000万円までの譲渡所得が非課税になる」のではなく、「譲渡所得から3,000万円を控除する」という内容ですので、間違えないようにしましょう。

特別控除を受ける条件

しかし、全ての不動産で特別控除を受けられるワケではありません。様々な条件がありますので、詳細は国税庁ホームページでご確認ください。概要は以下に記載します。一般的に住むことを目的としていた物件であれば問題なく受けられます。

  • 自分の家を売る時
  • 今住んでいなければ、住まなくなった日から3年目の年末まで(例えば2016年2月売ったとしたら、2019年末まで)に売る。但し、その間に賃貸に出していたり、他の用途に使用していた場合はダメ。
  • 売った年の前年、前々年にこの特例を含む他の特例を受けていない
  • 親子や夫婦など生計を共にしている関係者への売却ではない
ザックリ言うとこのような条件であれば問題ありません。

注意点

上記の条件に挙がっている、「住んでいる」や「自分の家」はどのように証明するか?と思う人もいると思います。基本的には売買契約書や住民票の履歴などで判断します。注意点は、「仮住まいで一時的に住んでいただけ」など、一時的な居住と判断された場合は、この控除が受けられない可能性があります。

どこまでが一時的な入居なのかという明確な規定はありませんが、税務署がそのように判断をしてしまえば控除は受けられません。もし、一時入居と判断される可能性があれば、物件の売却前に税務署へ相談することをお薦めします。

消費税について

尚、税金の繋がりで消費税についても理解しておきましょう。2017年4月に予定していた消費増税ですが、2019年10月への延期が決定しました。不動産を売却する時に消費増税が影響する点は、「仲介手数料、登記関係費用の登録免許税以外(司法書士報酬など)」の諸費用部分になります。個人間の売買であれば、土地建物への消費税は非課税(新築を新たに購入する場合は相手が法人なので課税される)なので、不動産本体は消費増税の影響はありません。

例えば、3,000万円のマンションを売却した場合にかかる仲介手数料と登記関係費用(登録免許税以外)は、消費税を考えなければ約100万円程です。つまり、消費税が8%から10%に上がれば2万円程度、諸費用が上がるという事です。

家を売却したら確定申告は必要か?

不動産売却したら確定申告が必要?」にも書いてありますが、家を売却し、以下のようなケースは確定申告が必要になります。

  • 「譲渡所得」が発生し、納税義務が生じた時
  • 「譲渡所得」が発生し、3,000万円の特別控除の適用を受ける時

但し、譲渡所得がマイナスになった時にも確定申告をする事でお得になることがあります。

そもそも確定申告とは?

確定申告とは、前年の所得を申告し納税をすることを言います。サラリーマンであれば、会社側が毎月の給料から源泉徴収という形で納税をしてくれているので、確定申告の義務はありません。しかし、不動産所得が発生した場合には自分で申告をする必要があるのです。
確定申告をする時期は毎年2/16~3/15になります。例えば、2015年8月にマンションを売却して1,200譲渡所得があったとします。もし、これが3,000万円の特別控除が受けられないとすると、この1,200万円の所得に関して2016年2/16~3/15の期間に確定申告をして納税します。

確定申告はどうやってするか?

確定申告をする方法は大きく分けて4つあります。1つ目は、「税務署へ直接持ち込む」、2つ目は、「ネットから提出(別途機器が必要)」、3つめに「郵送」、最後に「税務署の夜間ポストへ投函」です。

確定申告書類の作成はweb上で行う方法が一番楽です。上述した「減価償却費」などの計算も必要情報を入力すると自動で計算してくれます。税理士に依頼するという方法もありますが3万円~10万円程度の費用が必要になります。

確定申告についての詳細は「国税庁確定申告作成」のページを御覧ください。

譲渡所得がマイナスになった時

家を売り譲渡所得がマイナス(譲渡損失)になった場合には、確定申告をすれば税金が安くなる場合があります(家を買い替えた前提。)。

正式には、「買い替え時の譲渡損失の繰越控除(マイホームを買い替えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」と言います。この制度は家を売った際に発生した「マイナス分」を、サラリーマンですと給与所得、自営業者ですと事業所得からマイナス出来るという制度です。一度に控除しきれない場合は、翌年以降に繰り越し、最長3年間に渡り控除できます。

例えば、給与所得が500万円のサラリーマンがマンションを売却して700万円の譲渡損失が発生したとします。その場合は、売った年は給与所得500万円全てを譲渡損失から控除できますので、所得が0円になります。つまり所得税と住民税が0円になり、会社から源泉徴収されている分を還付できるという事です。更に譲渡損失の残り200万円分も翌年に繰り越す事が出来るのです。

注意点

この繰り越し控除は2017年12月31日までの売却に適用され、「住宅ローン控除」との併用も可能です。ただ、前項の例のように、譲渡損失と相殺して所得が0円になった場合には住宅ローン控除は適用されません。住宅ローン控除はあくまで納税した所得税が還付される仕組みだからです。
この制度を適用するためには、様々な条件がありますので、詳細は国税庁ホームページでご確認ください。概要は以下に記載します。

  • 居住用の自宅であり、今住んでいない場合は、住まなくなった日から3年目の年末までに売却する
  • 売却の年の1月1日時点で所有期間が5年超である
  • 売却した年の前年1月1日から、売却した年の翌年末までに床面積(登記簿面積)50㎡以上の住宅を取得する
  • 新たに住宅を購入した年の年末までに、返済期間10年以上の住宅ローンを借りている

特に注意する点は、「あくまで買い替えである点」「広さにルールがある点」「ローンを借りなければいけない点」です。

尚、買い替えでない場合でも、譲渡損失を別の所得から控除することも可能ですが、少々要件が異なります。詳細は国税庁ホームページをご確認ください。

家を売る際の税金についてのまとめ

冒頭で、「ほとんどの場合、不動産を売っても税金は掛からない」と言った意味が分かったと思います。

そもそも購入価格より高く売れること自体、あまり多い事ではありません。しかし、もし不動産市況が絶好調で、ほとんどの中古物件は利益が出る状態だったとします。そうなると、譲渡所得税率は高いので売却を控える方も出てくると思います。

売却をすれば、不動産仲介会社、売主・買主も色々なお金を使います。消費が促されて日本経済の活性化に繋がります。

それを妨げないようにこの特別控除があるのです。繰り返しになりますが、もし不動産の売却を考えている方がいて、上記の特別控除が受けられない可能性があれば、事前に必ず確認しましょう。

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